人生の先輩には、傾聴する姿勢を常に示すべし!

個人差こそありますが、介護が必要になった高齢者のプライドは著しく傷つき、羞恥心や諦めの気持ちなど、複雑な負の感情が膨れ上がることがあります。
とりわけ、身体面の衰えだけが著しい高齢者の場合、家族に負担をかけてしまう申し訳なさから、自身の存在意義自体を否定することで、気持ちに折り合いをつけようとする傾向も見られます。

しかし、このような不安定な精神状態にあると、他人である介護士に対しては、簡単に心を開いてくれません。
時には羞恥心から、思い込み的な被害者意識が芽生えてしまい、介護サービスを提供する側が困窮してしまう事例もあるようです。
そのため、このようなケースにおいては特に、相手の尊厳を認め、尊敬の念を持って接することが鍵になります。
決して上から目線で接するのではなく、少しずつ何でも話せる距離感と関係を築くことが大切です。

そして、まず相手のペースに合わせて、希望や意向に耳を傾けてあげましょう。
自分を邪魔者扱いせず、頭ごなしに叱ったり、拒否したりせずに、最後まで話を聞いてくれる人物だと認識してもらえれば、多くの場合は徐々に心をひらいてもらえます。
お互いを理解し合えれば、悪意なく生じてしまう誤解もなくすことができ、介護業務もグッとしやすくなるでしょう。
高齢者と接する際に見られがちな、一方通行の言動に走ることなく、あくまで自然体で接する姿勢が、より良い介護には欠かせないのです。